マスト労務経営のブログ

中小企業診断士・社会保険労務士事務所のマスト労務経営が人事労務とその他経営全般についてゆる~く解説します

猿でもわかる「代休」と「振替休日」の違い

やあ、おいらサル。よろしく。

はい、よろしく。

今日は福岡に相談が会って来たんだ。

なんでしょう?

おいら、幸島で芋洗いの仕事してるんだ。

ああ、宮崎県の幸島ですね↓↓あれ仕事だったんですね。

f:id:mast-roumukeiei:20181029164229j:plain

そう、それでさ、おいらは毎週土日が休みなの。だけどさ、こないだボスが「土曜か日曜に出勤して代わりに水曜に休め」って言うんだよ。まあ、それはいいんだけどさ。ちょっと気になることがあってさ。

何でしょう?

やらしい話なんだけどさ、割増賃金ってどうなるのかと思ってさ。こんな話ボスには聞けないしな。てか、ボスも知らねーだろうしな。所詮サルだからな。

分かりました。説明しましょう。ちなみに、月~金の1日の労働時間は何時間ですか?

1日8時間さ。

3つのパターンが考えられますね。下の表を参考にしながら、それぞれのパターンを考えて行きましょう。

f:id:mast-roumukeiei:20181029171013p:plain

まず、パターン①です。つまり、2週目の日曜に出勤して同じ週の水曜に振替休日をとるパターンですね。結論から言うと、この場合、割増賃金は支払われません。理由は2週目の総労働時間が法定の40時間以内に収まっているからです。

ウキキッ!せっかくの日曜日に働くのに割増賃金ないのかあ。(+_+)

次に、パターン②です。つまり、1週目の土曜に出勤して2週目の水曜に振替休日をとるパターンですね。この場合、1週目は労働時間が40時間をオーバーしています。したがって、1週目の土曜日の出勤に対しては25%の割増賃金が支払われます。

じゃあ、日曜よりも土曜に休んだほうが得ってことだな!

労働者にとっては、そうなりますね。

最後に、パターン③です。これは、2週目の日曜に出勤して水曜に休むという点では、パターン①と同じですね。パターン①と異なる点は、水曜日の休みが振替休日ではなくて代休だということです。結論を言うと、日曜日の出勤に対しては35%の割増賃金が支払われることになります。

ウキッ?よく分からんな

分かり易くいうと、振替休日は本来の出勤日と法定休日を入れ替えたものと考えて下さい。パターン①で言うと水曜日が法定休日に代わったということです。法定休日に休んでいるのだから割増賃金は不要ですよね?

なるほど。

一方で、パターン③の場合は法定休日に労働したという事実は消えないという考え方です。つまり、休日労働の事実があって、事後的に代休をとるという考え方なのです。

代休と振替休日の違いは分かったけどさ、代休にするか振替休日にするかは好きなように選んでいいのかい?もしそれでいいなら、おいらたちみんな代休をとるぜ。だって割増賃金が高いからな。

そのことについては、本来、就業規則にしっかりと明記しておくべきですね。会社側の立場で言えば人件費を抑えるためにも振替休日の制度のみで運用する旨を明記しておいたほうがよいでしょう。

社長の立場からしたら、そうだろうな。おいらのボスも給料の工面が大変だってぼやいてたもんな。

実際のところ、代休と振替休日の区別を曖昧にしている企業が多いのですが、そのような企業は未払い賃金を請求されるリスクが高いということになりますね。

おいらはホントは割増賃金なんてどうでもいいんだ。そんなことより、休みの日は家族や友達と一緒に近所の畑を荒したり観光客のバッグを盗んだりして楽しくすごしたいんだよな。

猿のいたずらのイラスト

サルの休日の過ごし方には賛成できませんが、ワークライフバランスは大事ですね。休日の制度を就業規則にしっかり明記することも重要ですが、それ以前に休日労働を減らすための仕組み作りが労使双方にとって一番大事なことですね。

 

代休と振替休日の違いについてはこちらのクイズも参考にしてください↓↓

 

mast-roumukeiei.hatenablog.com